球仁球仁

指導者として恥ずかしい話ですけれど、避けれないことなので参考にしてください。兆候を見逃さないことが大事ですね!

少年野球で実際にあった監督の暴力!体験談。

熱血指導という名の古いスポーツ指導体質改善

私は現在40歳の男性です。24歳から35歳まで地方公務員として地域行政に従事する傍ら、比較的時間のある職種柄、アフターや休日を利用して少年野球のコーチという立場に就いた経験を持つ。
私自身、野球というスポーツは小学校しか経験していなかったが、大学卒業まで他のスポーツをバリバリとやっていたいわゆる体育会ということもあり、監督から声がかかった際に断る理由はなかった。

1)体罰があったチームの人数や構成

私がコーチをしていたチームは、小学2年生から6年生の少年野球チームで、地域柄、学校単位でチームを構成しており、一つの小学校の生徒でメンバーが組まれている。
選手は、小学2年生、3年生の低学年組みが若干名、4年、5年、6年の主力学年になると、5〜8人となり、どの年も平均的に約25人程度の選手で構成されていた。
選手に対し、監督・コーチの体制は、10人を超えるという、一見選手にとっては非常に恵まれた環境に見えるが、全員がボランティアコーチということもあり、一人のコーチが常時選手を指導し続ける環境が整えられないような状況であった。
その中で、監督だけは唯一無二の存在で、常に選手に寄り添い、全ての練習、試合に参加する絶対的な存在出会った。

2)体罰をする監督の人柄

監督は私たちコーチ陣より若干歳が上になる50代。実直で真面目という言葉がまさに当てはまるような人柄であったが、良い意味で羽目を外せるユーモアも持っていた。
この監督も私同様公務員という職種で、時間的にも融通も効く立場であったことから指導者への道を進んできた。そして何よりも、長く野球だけを愛し、野球だけに青春を注いできたいわゆる「野球ばか」だ。決して派手な性格ではなく、実直で真面目なことから、周囲の信頼も非常に大きかったのは間違いない。一方で、そんな監督だからこそ、なかなか世代交代ができない、させてもらえないといった現状もあった。
先に話した通り、私は他のスポーツに長く打ち込んできた経験があり、改めて野球というスポーツに携わる機会をいただいた中で、久しぶりに「体罰」というものを目の当たりにした。

3)どういう選手が体罰を受けるのか?それはどんな体罰か?

信頼の厚い監督だったゆえ、客観的に見れば体罰でも、選手、コーチ、保護者、誰もがそれを体罰だと疑問視する声は不思議と聞こえて来なかった。
大学までスポーツを続けると、スポーツの種目関係なく、交友関係や視野は一気に広がる。私のような経歴を持つ人が少なかったことも、疑問視の声が無かった要因の一つではないだろうか。地方ではまだ当たり前のように体罰が容認されているのだと改めて感じた。
この監督が行った体罰は、決して弱いもの、最初からできないものに対しては行われない。ある程度実力があり、伸びしろがあり、期待感の高い選手がミスをした時に発生する。これは、実直な監督ゆえ、客観的な指導を飛び越えた「感情的」な部分であるなと感じる部分は多々あった。
言葉にすると、叱る(しかる)と怒る(いかる)のような違いで、体罰に至る際は必ずといっていいほど怒るスイッチが押されていたように感じる。
私も小さい時に経験はあるが、野球界では半常識的な「ケツバット」という名の指導法。率直に、まだこんな指導しているのかと、懐かしさもあったが、やはり度が過ぎた時代にそぐわない指導法だと感じたのも事実だ。世の中のスポーツがどんどん科学的に進歩していく中で、いまだに根性論や体罰で指導をしていることに、不合理さを感じた。
しかし、子供に叱れない親が増えてきたのか、保護者からは「ありがとうございます」という感謝の言葉が聞こえてくる。体罰は決して良いものではないし、当人に原因もあると思う。しかしながら、その根底にあるのは、「保護者力」もあるのではないだろうか。

4)体罰問題が解決に向かう経緯

私が指導者について数年後、私より若い世代の新しいコーチが入ってきた。彼も私と同じように不合理な指導法に少し疑問を持っていたので、お酒の席で解決方法をじっくり練った。
現在の監督も決して悪い人柄でもなく信頼も厚い。監督の体罰は、一時的な感情からくる単発性のものでることも分かっていた。
そこで、もっとチームを強く、そして楽しく野球をするため合理的な指導法を伝えるため、彼と一緒に立ち上がり、監督へ世代交代を申し出た。
すると実直で熱血肌の監督はほころんだ表情で、「その声を待っていた」と一言発して世代交代を容認してくれた。

5)問題解決後のチーム

信頼の厚い監督を追い出した訳ではない。監督にはコーチという立場になってもらい、野球をこれから始める低学年の指導に回ってもらった。監督時代の表情とは一変して、いつもニコニコとちびっこたちと野球をしているのがすごく印象的だ。
体罰を無くすには、直接的な対立という方法もあると思うが、疑問に思った人が自ら立ち上がって、その体制を見直すことで解決できることもあると、私は思っています。

球仁球仁

監督は、早くブレーキをかけてほしかったんですね!本当に子どもが野球が好きな方のようです。会社もそうですけれど勇気をもって歯止めをかけることが解決の糸口になります。